映画のスタイルとしてはブレアウィッチよろしく擬似ドキュメント。
登場人物の一人が撮影を続けたカメラの映像が後に発見され、それを観賞するというまさにブレアウィッチと同一の手法。
(メインの登場人物も同じく三人。このぐらいの人数がこの手法ではベストなのでしょう。)
この手法では当然骨太のストーリ展開など望めませんが、ぶっちゃけ内容なんてどうでも良いでしょうね。
いかに臨場感ある映像を作り、そこでどれだけ観客を映画に引き込ませるかがポイントになると思います。
この映画は尺が80分程度なのですが、冒頭20分は延々パーティ会場の映像が流されます。
この時間が非常に苦痛です。多少とは言え存在するストーリー展開の為に此処で人物相関図を説明するのは当然なのですがやはり長すぎます。
ここらへんはテンポよく勧めて欲しかった(別に80分が70分になっても短いことに変わりないし)。
あと一番気になったのはカメラマン役のハッドと言う人物像にあります。
撮影が上手すぎるし、プロ根性ありすぎなんですよね(設定ではカメラは素人の筈)。
会話シーンではどんなシリアスな展開でもどんな状況でも相手の顔をカメラに収め、
モンスタにー襲われようがカメラだけは決して放しません(お前は戦場カメラマンかと)。
性格も問題ありです。
冒頭のパーティーシーンでは主人公と恋人の情事の縺れを会場の人々に言いふらし、
自身の思い人が怪物に襲われ怪我をした際にもその部位の撮影を続け、あげく一言。「痛そうだ。」(彼には治療するという発想は無いようです)。
あと彼は本編中喋り続けます(まぁカメラ持っているのが彼ですから当然といえば当然ですが)。
私は彼が絶えず喋り捲る事による緊張感の低下で、この映画に緊迫感や恐怖感といったものが殆ど感じられませんでした。
何と言うか非常に不快な存在に感じましたね。
しかし彼はカメラマン役なので死ぬのはラスト、そしてそれが描かれる事は演出上ないだろうなと思っていましたが、ラストでモンスタにーぱっくりとやられます。
(カメラは他のキャラクターが引き継ぎます。)
その際にモンスターの全景がカメラに映りこむのですが、そのカタルシスよりハッドがきちんと死んでくれた事への感動の方が遥かに大きい。
観賞を終えた際、この映画はモンスターではなくハッドの行動により鑑賞者の感情の制御を図ろうとしていたのではと感じてしまいました。
ちなみにこの映画は日米共にNO.1ヒットを飛ばし(おそらく一週でしょうが)、日本での興行成績は10億円を超えたそうです。
(この映画が10億だとダークナイトは俺換算で380億位です)。
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